みなさま、こんにちは。
北海道のまつのベジフルサポーター、
野菜ソムリエ上級プロ、
6次産業化プランナーの
田所かおりです。
オホーツク海から30kmに位置する町
美幌町。
美幌川をはじめとする美しい川が流れ、
日照時間が長く、肥沃な大地に恵まれた
農業を基幹産業とする町です。
今回は、冬期間の3色アスパラガス
生産に向けた美幌町の取り組みを
取材致しました。
この取り組みを仕掛けたのが、
美幌町役場経済部
美幌みらい農業センターの午来博氏。
美幌町は全国的にも出荷がほとんどない
11月収穫のアスパラガス栽培に
取り組み、現在、北海道で唯一、
春夏秋冬グリーンアスパラガスを生産
しています。
JA美幌では、冬期に収穫されたグリーン
アスパラガスを、「冬姫」という
ブランド名で販売しており、
この時期の国産アスパラガスは希少で
高値で取引されます。
そして現在、冬期に3色揃えようと
美幌みらい農業センターを中心に
冬期のホワイトアとパープルの生産に
向け、伏せ込み栽培に適した
休眠の浅い品種や、LEDを用いた
栽培方法が検討されています。
外雪が積もりマイナス10℃を
切ることが珍しくない環境。
ビニールハウスは2重。
その中のベットごとにビニールを被せて
アスパラガスを栽培しています。
美幌町の冬期アスパラ栽培は、
露地で1年半育てた根株を
秋に掘り起こし、ビニールハウスの中に
ベットを作り根株を植え付け
新芽を摘み取る「伏せ込み栽培」です。
そのため、冬期にアスパラガスを
収穫するには、早く芽を出す
休眠の浅い品種を選ぶことが重要です。
グリーンアスパラガスの
中でも休眠が浅い品種や
酪農学園大学で開発された
パープルアスパラガスが
特に、一般的にパープルアスパラガスは
グリーンに比べ休眠が深いことから、
この品種に期待を寄せているとのこと。
こちらはLEDを照射する試験区。
夜6時から朝の6時までのLED照射の
LEDライトのピンク色の光が
幻想的でした。
真っ暗な中にぼんやり浮かぶ
ピンク色のハウス。
この方法が美幌町に広まれば、
観光資源になるのではと思いました。
次はビニールハウスや畑がない場所でも
野菜の栽培ができるコンテナを使用した
栽培システムです。
昨シーズンはグリーンアスパラガスを、
今シーズンはホワイトアスパラガスを
栽培されています。
コンテナ内にヒーターはなく、
換気扇と、LEDライトの光と熱で
環境をコントロールし、
冬場に畑のない場所でも野菜が
育てられるとのこと。
内部にはWEBカメラも付けられており、
遠隔地からでも生育状況が確認できます。
生産現場では費用対効果が合わないため
導入は難しいとのことですが、
システム自体に汎用性があるため、
他の野菜を作ることも可能。
道の駅などでシンボリックリンクな使い
方には良いのではないかとのことでした。
美幌町では特産のアスパラガスを使った
商品が開発されています。
こちらは、
合同会社びほろ笑顔プロジェクトの商品。
「美幌アスパラ入りうどん」
「美幌アスパラガスパスタ」
出荷時にアスパラガスの長さを
揃えるために切り落とされる部分が
練り込まれています。
本来廃棄されてしまう部分を活用した
アイディア商品です。
また、うどんにはアスパラガスの葉
(擬葉)が練りこまれており、
美しいグリーンの麺に仕上げられて
います。
いただいた3色アスパラガスを
オホーツクの恵みのホタテと一緒に
かき揚げにして、
アスパラうどんにのせて頂きました。
グリーン、ホワイト、パープルと
それぞれ異なる食感を楽しみました。
この時期に北海道産の
3色のアスパラガスを食べられるなんて
とても贅沢です。
春夏秋冬収穫される美幌町産の
アスパラガス。
グリーン、ホワイト、パープルの3色が
冬場の店頭に並ぶ日は近いのでは
ないでしょうか。
北海道のまつのベジフルサポーター、
野菜ソムリエ上級プロ、
6次産業化プランナーの
田所かおりのレポートでした。
コメント
コメント一覧 (2)
これらのことから判断しても、冬期(まして極寒の北海道)のアスパラガス栽培がいかに難しいことかということが分かります。
パイプハウスの2重被覆、LED照射のための設備投資、コンテナを用いた栽培システムの開発、多額の費用を投じていることと思います。
冬の北海道という過酷な環境の中、難題にチャレンジするという北海道の生産者の姿勢と熱意はやはりスゴイの一言に尽きます。
春夏秋冬収穫される美幌町産のアスパラガス、他では行われないことが栽培システムの確立により北海道でしか出来ないことになるのですね。
北海道の人達の大胆な発想と並々ならぬ努力の先に新たな北海道ブランドは生まれ、現在全国津々浦々までその名が浸透し成功をおさめていることに改めて納得しました。
試験栽培中のアスパラガス、たくましい姿ですね。
野菜は地に地に根を下ろし成長している姿が一番美しいと思います。
誰も栽培していない時期だからこそ挑戦し、ブランド価値を高める。アイディアを持っていても、実際成し遂げるには並大抵のことではないと思います。取材をしていて、美幌町の冬期アスパラガス栽培は、本当にチャレンジ精神と企画力の賜物であると感じました。冬期の三色アスパラガス生産が軌道に乗った後、また新しい挑戦が始まるようですので、そちらにも期待しております。