みなさんこんにちは。
高知県のまつののベジフルサポーター
野菜ソムリエ上級プロ
食育マイスター
の斉藤香織です。

みなさんは在来種、または固定種という
言葉を聞いたことがありますか?
昔から各地で作り続けられてきた野菜。
毎年大切に種を取り続け、その土地の気
候や地形に適応して育ってきた野菜たち
は生命力が強く、個性的でもありますが
現代、種苗会社で種を買うようになって
からは、各地域独特の野菜が作られなく
なり、固定種は消滅の危機にあります。

高知県四万十町大道地区にも、代々自家
採種で作られてきた固定種、大根、カブ
高菜などがあります。しかし作り手も高
齢化してきており、このままではこの固
定種は消えてしまうかもしれません。

「昔から作られている地域の野菜を
 知り、みんなで作ってみよう!」
昨年から四万十町昭和小学校の3.4年生と
一緒に、固定種とはどんなものか?なぜ
守る必要があるのか?を勉強し、実際に
種採り、種まきから収穫、そして調理ま
での取り組みを行ってきました。
その様子をご紹介します。
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この地域で作られてきた固定種は
「昔大根」「昔カブ」「昔高菜」
という愛称で呼ばれています。
山間地である大道地区では、昔は焼畑農
法が行われていました。全国の焼畑で作
られてきた固定種と同様に、昔大根、昔
かぶは赤い色をしています。皮の部分に
は少しエグミがありますが、肉質が密で
煮物にすると甘くて、食べ応えがありま
す。昔高菜は、一般的な高菜より茎が細
くて、柔らかいのが特徴です。
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昭和小学校の児童たちとのプロジェクト
は6月から始まりました。元農業普及指
導員の森澤さんをリーダーに、農業普及
所、JA、地域おこし協力隊、野菜ソムリ
エ上級プロ、そして大道地区の生産者の
おばちゃん方による「森やんグループ」
が活動をサポートしてきました。
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【一学期】
まずは「固定種ってなあに?」というお
話から始まりました。パンダやオランウ
ータンが絶滅危惧種と呼ばれ、保護され
ているということを子供たちは知ってい
ます。
「昔から作られてきた野菜たちがだんだ
ん作られなくなって、今絶滅しそうにな
っています。野菜は動物と違って、動か
ない、鳴かない、だから分かりにくいけ
れど、静かに絶滅へと向かっています。
みんなが住んでいる場所で、昔から作ら
れてきた野菜は地域の宝物です。みんな
で守っていきましょう」
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お話を聞いた後は、生産者のおばちゃん
たちに教えてもらって、昔野菜の種採り
をしました。
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棒でたたいて種を出したら、茎や葉など
を取り除き集めます。種は小さいので、
ふるうのが大変ですが、小さい一粒一粒
に命が詰まっています。
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【夏休み】
8月後半は畑の準備をしました。校舎
の裏の畑を耕して、ふかふかにしてか
ら畝を作ります。これは私たち「森や
んグループ」の仕事です。
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耕耘機を使って畑を耕し、畝ができたら
マルチを張るところまで準備しました。
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【二学期】
いよいよ子供たちと一緒に種まきです。
まずはマルチに穴を開けていきます。
みんなとても上手です!
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そして、みんなで採った昔野菜の種を丁
寧に蒔きました。成長が楽しみですね。
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昨年の秋は長雨と高温が続き、高知県だ
けでなく、全国的に作物に被害が出まし
た。大道地区でおばちゃんたちが作リ続
けている昔野菜も、育ちが良くないと聞
きました。昭和小学校の畑はどうなって
いるだろう。心配で見に行ってみると…
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大根もかぶも高菜も青々と葉が茂り、
びっくりするほど良く育っていました。
よかったー!

【三学期】
寒さが厳しくなる1月が収穫時期。
さぁ、順調に育っているでしょうか…?
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大根は土からぐーんと首を伸ばして、こ
んなに太く大きくなっていました!土か
ら出ている部分だけ赤く色づいています
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かぶもマルチの穴を突き破る程に、丸々
と育っています。
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前日は雪もちらつくほどの寒さでした。
昔高菜にも霜が降りていますが、それで
もこの元気の良さ!
さぁ、みんなで収穫しましょう。
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「おおきなかぶの絵本みたいだね!」
太い昔大根は2kgほどになります。みん
なで協力して、よいしょよいしょ!抜く
のに苦労したけれど、自分の手にずっし
りと野菜の重みを感じて、この表情!
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その後は調理室に移動して、収穫したば
かりの昔野菜でお昼ご飯を作りました。
メニューは5品
昔大根と里芋の煮物
昔高菜と鶏肉の炒め物
昔かぶの酢物
菜飯
昔かぶのすりおろし味噌汁
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私たちも加わって、レッツクッキング!
大根は、昆布とじゃこで出汁をとって、
里芋と一緒に煮ます。大根は身がしっか
り詰まっているので、切る時は堅いけれ
ど、煮物にするとほくほくした食感に。
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かぶは皮ごと千切りにして、酢物にしま
す。酢を混ぜると、皮の赤い部分がぱー
っと鮮やかになるのには驚きました!
じゃことゴマも入れました。
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高菜と鶏肉の炒め物には、いり卵も加え
て彩りをアップ。上手くお皿に取り分け
ていくのも子供たちの仕事です。
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できあがったら、両手を合わせて
「いただきまーす!」
みんなもりもり食べて、おかわり続出。
自分で育てて、自分で調理したものはな
んとも言えない味でしょう。かぶの味噌
汁には、切ったものとすりおろしたもの
を入れました。同じ素材でも切り方で違
う食感になることが伝わったかな。
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余った野菜は地元のおかみさん市にプレ
ゼント。翌日のおかみさん市が開催する
バイキング料理に使ってもらうため。こ
のバイキングは大人気で、毎回県外から
もたくさんのお客さんがみえます。昔野
菜のPRにはもってこいの機会なのです。
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種採りから始まり、種まき、収穫、調理
そして食べる。この一連の体験が大切だ
と考えています。最後は食べて味を知る
ことで昔野菜が記憶される。本当の知識
になるのではないでしょうか。

また、地域で採れる食材を知ることはと
ても大切なこと。「身土不二」という言
葉がありますが、これは「自分の身体と
自分の生きている土地とは切り離せない
関係にある」つまり、地域で取れる旬の
ものを食べていれば健康に生きられると
いうことで、地域食文化の原点です。

最後に教室を覗くと、一学期からの体
験をまとめてくれていました。
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みんなの驚きや発見も書かれていて感動
しました。ちゃんと間引きもしてくれて
いたので、よく育っていたのですね!

昭和小学校のみなさん、これからも自分
たちの土地で作られている野菜に興味を
持ち、固定種を大切にする心を忘れない
で下さいね。
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高知県のまつのベジフルサポーター
野菜ソムリエ上級プロ
食育マイスター
斉藤香織でした。