あけましておめでとうございます。
旧年中は『まつのベジフルジャーナル』を
ご愛読頂きありがとうございました。
昨年一年間に公開した記事は338本。
北海道から沖縄まで野菜ソムリエによる
レポートをお届け致しました。

2017年の初回の記事は
「ご当地のお雑煮&正月料理」。

各地域には代々受け継がれてきた
「お正月の食」があります。
食文化の背景にあるストーリーとともに
ご当地のお正月の一品をご紹介します。

【北海道】ぼたんゆりね
まつのベジフルサポーター
シニア野菜ソムリエ
田所かおりさんより  
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お正月にゆりねを食べるのは
主に関西の文化ですが、
北海道は実はゆりね生産の99.9%の
シェアを占めるトップ産地。
(農林水産省統計2010より)

ゆりねは球根の鱗片(りんぺん)が
多く重なる形から「合わさる」
=和合に通じるとされる縁起物です。

鱗片を1つずつほぐし
薄味で煮るのが定番の食べ方ですが
球根の形を活かして牡丹の花型にすると
祝いの膳にふさわしい華のある一品に。
おせち料理の一品として作ってみては
いかがでしょうか。


【青森県】氷頭なます(ひずなます)
まつのベジフルサポーター
ジュニア野菜ソムリエ
欠畑睦子さんより 
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氷頭とは鮭の頭にある
氷のような透明な軟骨のこと。
軟骨を薄くスライスして塩をし
甘酢と大根おろし、ゆずであえ
いくらを加えます。
青森で親しまれる庶民の魚「鮭」を
余すところなくいただく先人の知恵が
生み出した祝いの一品です。

【岩手県】一関の餅膳
まつのベジフルサポーター
シニア野菜ソムリエ
千田広子さんより
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岩手県南は米どころ「一関はもちのせき」
冠婚葬祭や祝い事の席に
餅は欠かせない身近なものです。
上の写真はお雑煮から時計回りに
きな粉あんこくるみゴマ納豆
海苔、真中は生姜餅で、干し椎茸の出汁に
醤油とみりんで味付け片栗粉で
とろみをつけたものです。

その他にヌマエビを絡めたエビ餅
エゴマをペーストにしたじゅうね餅
人気があり、どじょうと摩り下ろした
ゴボウを甘辛く煮たふすべ餅など
その種類は相当な数になります。

そして、欠かせないのが
大根おろしの甘酢、炭水化物の消化を
助けるジアスターゼ
先人の知恵は素晴らしいですね。

【山梨県】みみ
まつのベジフルサポーター
ジュニア野菜ソムリエ
村上由実さんより
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山梨県富士川町十谷地域に伝わる「みみ」
その昔、源氏の武将が争いの際に食し
戦勝を祝ったという故事から
祝いの日の代表的な食事として
正月元旦の朝食に家族皆で食べる習慣が
残っているそうです。
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また「みみ」は、農具の箕(み)の形に
似ていることから
「その年の福を全部すくう」という
縁起もかついでいるそうですよ。

【滋賀県】鮒ずし
まつのベジフルサポーター
野菜ソムリエ
辻川育子さんより
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寿司のルーツとも言われる滋賀県の
鮒ずしは琵琶湖のニゴロブナを塩漬けし
炊いた米で漬けて乳酸発酵させた食品、
「なれずし」の一種です。
昔は多くの家庭で作られ、お正月に
樽を開けてお客様にもてなされました。

【和歌山県】じゃばらのお正月料理
まつのベジフルサポーター
アクティブ野菜ソムリエ
井上宣子さんより 
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和歌山県北山村では昔からお正月には
さんま寿司や昆布巻、海苔巻きなどの
お正月料理に「じゃばら」の搾り汁を
食酢として利用しているそうです。

じゃばらは北山村の一本の原木から
始まった幻の果実とも言われる柑橘で
「邪(気)をはらう」が名前の由来。
村では昔から正月料理にかかせない
縁起物の食材です。

【香川県】あん餅のお雑煮
まつのベジフルサポーター
アクティブ野菜ソムリエ
川村章子さんより
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日本の東は角餅、西は丸餅が多いなか
あん餅は他県にはないのでは?
昭和30年代まで甘いものはぜいたく品。砂糖や白みそはお正月など
特別な時にだけ戴くものでした。 

細めの大根と金時人参は祝い事の紅白で
必ず入り、一年が丸く収まるようにと
輪切りにするのが一般的。
そのほかに里芋、ごぼう、白菜
油揚げなどを入れる地域もあります。

瀬戸内海で獲れるいりこでダシを取り
甘めの白みそとトロリとしたあん餅、
いりこの香りのハーモニーが
たまらないお椀です。

【福岡県】「かつお菜」が映える博多お雑煮
まつのベジフルサポーター
シニア野菜ソムリエ
久保ゆりかさんより
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博多お雑煮に欠かせない食材は
「博多かつお菜」。

「かつお」のようにダシがよく出る
ことからこの名がつき、
「かつ」を「勝つ」にかけて
縁起物とされています。

博多はあご(とびうお)でダシを取る
ご家庭も多いですが、
我が家は昆布+かつおでダシを取り、
鶏肉の旨みも加えます。

お正月料理は、一年に一度の事ですが、
家族みんなで一緒にお雑煮を食べると
体も温まり、心がホッとしますね。

【熊本県】定番のお屠蘇「東肥赤酒」
まつのベジフルサポーター
野菜ソムリエ
佐藤真美さんより
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熊本のお正月の一品といえば
日頃の食卓でも人気の馬刺しや辛子蓮根。
そして熊本のお正月に欠かせないのが
「東肥赤酒(とうひあかざけ)」です。
熊本ではお屠蘇は東肥赤酒と決まって
いる人気のお酒。味は超甘口です。

赤酒は、江戸時代には肥後細川藩の
「お国酒」として愛飲され
今日でも熊本ではお屠蘇酒や儀式用の
酒として広く親しまれています。 

【沖縄県】沖縄伝統の正月料理
まつのベジフルサポーター
アクティブ野菜ソムリエ
堀基子さんより
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沖縄ではおせち料理やお雑煮を食べる
習慣がなく、代わりに沖縄独自の
お正月を寿ぐ伝統料理を作ります。

まず「田芋でんがく(ディンガク)」。
沖縄でターンムと呼ばれる田芋は
水田で栽培される里芋の仲間で
収穫後に蒸した状態で店頭に並びます。
子芋がたくさん付くことから、
子孫繁栄を願う食材としてお正月や
結婚式などの祝いの料理に用いられます。
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本土でいう田楽料理とは異なり
「きんとん」によく似ています。

また、正月には、関西の白味噌に似て
甘みのある「いなむどぅち味噌」を使い
「「いなむどぅち」という味噌仕立ての
汁物を作ります。「いなむどぅち」とは
「猪もどき」の意で豚肉、しいたけ
沖縄かまぼこ、こんにゃくなどを
具材にします。

真っ白になるまでよく洗った
豚のモツで作るすまし汁「中身汁」や
豚の骨付きあばら肉を冬瓜もしくは
大根と煮込んだ「ソーキ汁」などを
作る家庭もあります。
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大晦日の夜にいただく年越しそばも
もちろん沖縄のソウルフード「沖縄そば」。
皆様どうぞ楽しいお正月を
お過ごしくださいませ♪

【東京都】わが家のお雑煮
まつのベジフルサポーター
アクティブ野菜ソムリエ
増田智子さんより
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昆布だしの透明なお出汁に、鶏肉
にんじん、大根、小松菜、花型のお麩
かまぼこ。酒、塩、しょうゆ少々で
味付けします。お餅は焼いた角餅です。
実家のものを再現したつもりでしたが、
母のお雑煮はこちら。
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独自アレンジをしていたようですね・・・。

両親の出身地の味が混ざり
さらには家族の好みで変わっていったり。
食文化は各家庭で作られて行くのだなと
感じました。

食文化は時代と共に変わっていくもの。
その中でも変えてはいけないものを
大切に、2017年も全国から
野菜・果物便りをお届け致します。

本年もまつのベジフルサポーター
そしてまつのベジフルジャーナルを
何卒宜しくお願い致します。