こんにちは。
福井県のまつのべジフルサポーター
野菜ソムリエ
だしソムリエ協会認定講師の
水嶋昭代です。
今年初めての積雪を記録した日、
松野社長の福井県小浜市
「greenLand」様の
視察に同行させていただきました。
greenLand様は、
株式会社木田屋商店様の
完全人工光型水耕栽培
の植物工場です。
木田屋商店様は、
天明元年(1761年)の創業。
千葉県浦安市で「木田屋」
「k-fresh」を展開する
老舗のスーパーが、2014年、
新たな取り組みとして、
植物工場経営に参入しました。
近年、地球の温暖化などによる天候不順
により、作物栽培の不作、価格高騰が
続いています。
秋の長雨によるレタスなど野菜の高騰は
まだ記憶に新しいです。
家庭は元より、外食産業、コンビニなど
での通年の野菜の需要が年々増える
ことにより、価格、品質共に
安定した供給ができることが市場の課題
になっています。
そういった意味で、植物工場の存在が
ますます注目を集めてきています。
(写真提供 greenLand様HP)
【植物工場のメリット】
・栽培・加工の工程がはっきりしている
・無農薬・除菌防虫対策による
安全衛生的な栽培
・天候に左右されない安定供給
・計画的に短期間で栽培できる
・洗わなくても使える
・傷みによる廃棄ロスが少ない
・夜間電力を使った栽培が可能
・比較的少人数で大量の栽培が可能
・年間通して価格が一定
多くの利点がある一方で、デメリットも
あります。
【植物工場のデメリット】
・初期費用や設備の維持費が高い
・電気代などの栽培コストが高い
・栽培できる品目がまだ限られている
コストがかかる分、市場価格が露地物に
比べて高いことから、参入したものの、
撤退するケースも多く見受けられます。
福井県の取り組みとして、
平成23年より、植物工場の誘致、
建設、操業支援が積極的に
進めてられています。
また、原発所在、近隣市町に対する
電力料金の向こう8年間の優遇措置が
あることから、原発立地地域を中心に
多くの植物工場が稼働しています。
諸事情により、多くの原子力発電所が
稼働していない現在、新たな産業の誘致
が、地元住民の雇用対策になっています
現在、こちらの工場では、約30名を雇用
1日あたり17人~18人が働いており、
すべて地元の人とのことです。
今回視察したgreenLand様は、
これらの優遇措置を利用すると共に、
大気社様の技術提供により、LEDと
光を漏らさない反射板構造による
多段式水耕栽培を行うことで、
大幅なコストダウンに成功しました。
18レーン×12段の大空間多段空調
システムは、温湿度ムラを予防し、
均一な栽培環境を実現しています。
養液は施設園芸協会様、千葉大学様の
協力を得て開発した特注肥料により、
年間を通じて安定していて、
質の良い野菜が栽培されています。
こちらの施設は、食の安全と環境保全に
取り組む農場に与えられる【JGAP】
の認証を受けています。
また、植物工場のコンサルティング業務
も行っており、提携先には、独自が得た
「生きた情報」を提供し、他の植物工場
のサポートを行っています。
この工場では、毎日約1万株のレタスが
【プリーツレタス】
その内訳は、主にフリルレタス、そして
プリーツレタスとグリーンリーフです。
技術的には、結球レタスの栽培も
可能とのことですが、現在はコストと
需要の関係から行われていません。
出荷先は、関東6:関西3:地元1の
割合です。
小浜市内のスーパーでは、かなり買い
やすい価格で販売されていました。
以前は、蛍光灯による栽培でしたが、
操業開始から2年半の昨年、全面的に
LEDに取り替えました。
それにより、寿命が延びた上、電気代も
減らせ、更にコストダウンが
実現しました。
種まきから25日まで、育苗棟で生育、
その後、工場にて定植され14日間栽培、
衛生的に育てられ、廃棄ロスも少ない
工場内は、衛生管理も徹底し、毎日
午後から2人は清掃班として、
アルコールでの清掃を行っています。
greenLand様の視察をされた松野社長は、
衛生的、先進的な施設で高品質な
レタスが栽培されていること、
年間を通して、工場栽培の野菜としては
とても求めやすい価格で出荷されている
ことに大変関心を示されていました。
松野社長とレタスを持って。
【お味噌汁にレタス!】
意外かもしれませんが、レタスはみそ汁の具に
しても、シャキシャキとして美味しいです。
ミニトマト、モッツアレラチーズ、紫白菜と
フリルレタス。
最後に新鮮なオリーブオイルをたらり。
【カラフル野菜のテリーヌ】
パウンド型にさっと茹でたレタスを敷き詰め、
綺麗な色の野菜をきれいに並べていきます。
昆布とかつお節、塩を少し入れただしに
ゼラチンを混ぜて、流しいれます。
パーティーにも出せる一品ですが、意外と
簡単に作れます。
【トマトのファルシ】
くり抜いたミディトマトにレタスと焼肉
生ハム、サラダなどを詰めて、
レタスのグリーンとトマトの赤が
見た目にも鮮やかで美味しそうです。
今回、植物工場の視察に同行して、
とても衛生的で、生育の過程が
はっきりとしている。
季節を問わず価格が安定している。
袋を開けて洗わず、そのまま使える。
傷みにくいなど、様々な利点が
あることを実感しました。
今回、視察させていただきました
greenLand様のホームページは、
こちらからご覧いただけます。
http://greenland-farm.com/
福井県のまつのベジフルサポーター、
野菜ソムリエ
だしソムリエ協会認定講師
水嶋昭代でした。
コメント
コメント一覧 (2)
しかしながら、農業への価値観は人様々なので一概には言えませんが、農業は自然の一部を人が利用するものというのが私の考えです。
すなわち、日の光、水、土、土壌細菌、植物体、これらの幾つもの要素の働きが実を結んだ時に野菜が出来上がるということです。
廃棄ロスが少ないというメリット、そもそも廃棄される野菜を生み出すのは生活者の嗜好によるものだと思います。
私は生産者として、野菜を生産する過程の中でなぜこれが捨てられてしまうのかという想いを感じることが多々あります。
病害虫の防除も、手間も経費もかかる防除はしなくて済むことならしたくないというのが本音です。
しかしながらキレイなもの形の良いものが求められる日本においては避けては通れません、仮にしなかったとしたら今の供給量を維持できないことでしょう。
野菜栽培とはある区画に一種類だけのものが生えていえるということで自然のレベルからすると非常に不自然な行いだと思います。
当然そこにはその植物だけを好む菌が集中して菌相や、その植物が好む肥料成分だけを吸収することから生じる土壌成分のバランスの崩れなど種々の問題が生じその結果として病気になり害虫被害も生じるのだと思います。
それでも生産者達はそういったいくつもの問題を長い時間をかけて培った経験や知恵で乗り越えながら今の産地を築きあげてきました。
自然の驚異と自然の恩恵というのは表裏一体のものだと思います。
生産における不都合がないことを安易にメリットと捉えるのではなく、野菜栽培を行う自然というフィールドへの理解と野菜栽培の実際、生産から消費までの一連の流れの中で生じるひずみをキチンと考え、理解した上で野菜生産の方法に関し議論してみても良いのではないかと思います。
この記事を書きました まつのべジフルサポーターの水嶋です。
私の家も兼業農家ですので、七海さまのお気持ちは、よく分かります。
私も、我が子を育てる気持ちで野菜を育てています。
ただ、昨今の気象状況、市場の需要、農家の事情など様々な問題があり、農業のあり方が大きく変わってきているのだと思います。
七海様の言われるように、野菜の生産から消費までを,日本の国民一人一人がもっと考えて、議論することが本当は必要なのだと思います。
今回は、大変貴重なご意見を頂き、ありがとうございました。
私も、生産者、消費者、そして野菜を伝える一人として、このことを心に留めてこれからも活動してまいります。