みなさま、こんにちは。
北海道のまつのベジフルサポーター
シニア野菜ソムリエ
6次産業化プランナーの
田所かおりです。
北海道に暮らしてから、
よく食べるようになった「ゆりね」。
日本、中国が原産の野菜で、
古くから薬用として
珍重されてきました。
珍重されてきました。
そのお味は上品で、
ねっとりホクホクしていて
甘みがあります。
利用は関西が中心ですが、
収穫量は、北海道がNo.1。
なんと99.9%を占めています。
(農林水産省統計2010より)
10月頃から収穫され、
お正月用の食材として
12月に出荷のピークを迎えます。
そんなゆりねですが、
実は、収穫するまでに5年間、
毎年植え替えが必要とされる
とても手間のかかる野菜。
今回は、その栽培のレポートと
今回取材にご協力いただいたのは、
北海道江別市にある清水農園さん。
メインの品目は麦やお米ですが、
市内で唯一のゆりね生産者さんでも
いらっしゃいます。
清水農園さんのゆりね栽培は、
5つのステージに分かれていて、
約5年を要します。
<ステージ1/露地・ネットの中>
春にマッチ棒程の
ウイルスフリー種苗を植えます。
秋まで育てると、鱗茎(球根)が
ブドウの大玉くらいになります。
ブドウの大玉くらいになります。
<ステージ2/露地・ネットの中>
秋にブドウの大玉程の鱗茎を堀上げ、
別の場所に植え替えます。
1年間育てると鱗茎が
りんご程の大きさになります。 <ステージ3/露地>
秋にりんご程の大きさに育った鱗茎を
堀上げ鱗片をバラバラにし、
別の場所に植え付けて1年間育てると、
マッチ棒程度の鱗茎ができます。
<ステージ4/露地>
秋にマッチ棒程度の鱗茎を堀上げ、
別の場所に植え替え、1年間育てると
鱗茎がブドウの大玉くらいになります。
<ステージ5/露地>
秋にブドウの大玉程の鱗茎を堀上げ、
別の場所に植え替えます。

1年間育て、
りんご程の大きさになった鱗茎を
りんご程の大きさになった鱗茎を
傷がつかないよう慎重に掘り出し、
洗浄して出荷します。
栽培期間中は毎年植え替えますが、
連作障害を避けるため、
8年間は土地を休ませる必要があります。
また、その他にも
春先の土から芽が出るタイミングで、
土寄せの作業や、
初夏に蕾を取り除く作業もあります。
こちらは7月上旬に伺ったときの写真。
蕾は手作業で一つ一つ取り除きます。
このように長い期間、
手間暇かけて作られたゆりねは、
それだけでもありがたいのですが、
鱗片が幾重にも重なり合っている
形であることから、
「和合」に通じるとされたり、
「子孫繁栄」の象徴とされ、
縁起物としておせち料理に使われます。
また、ゆりねは栄養豊富な野菜で、
むくみ予防や解消によいとされる
カリウムの含有量が
可食部100gあたり740mgと
(日本食品標準成分表2010より)
野菜の中でもトップクラス。
さらに、亜鉛や銅などの無機質や
葉酸、食物繊維も豊富。
お正月だけでなく、普段の食生活
にも取り入れたいお野菜です。
にも取り入れたいお野菜です。
それでは、おすすめのお料理をご紹介。
◆ぼたんゆりね
ゆりねの芽が中心になるよう
外側の鱗片を外します。
外側の鱗片から内側に向かって
高くなるよう包丁を入れます。
細工が終わったら、蒸し器で蒸し、
シロップで煮て出来上がりです。
おせち料理の一品として作ってみては
いかがでしょうか。
◆ゆりねの梅肉和え
茹でたゆりねと、
たたいた梅干を和えるだけ。
ゆりねの甘味を梅干が引き立ててくれ、
さっぱりいただけます。
鰹節を加えるのもおすすめです。
◆ゆりねのホワイトシチュー
ホワイトソースとの相性抜群。
寒い冬にほっこり温まりますよ。

今回取材にご協力いただいた清水農園の
清水崇行さん(右)、麻美さん(左)
ありがとうございました。
清水農園さんのゆりねは、下記のお店で
12月中旬頃まで販売予定です。
◆HUGマート
札幌市中央区南2条西5丁目
札幌プラザ2・5ビル 1F
◆EBRI
江別市東野幌町3-3
来年のご予約は
フェイスブック「Fm清水ファーム」まで
www.facebook.com/fmshimizufarm/
ぜひ、皆様もゆりねを
お料理してみてくださいね。
以上、
北海道のまつのベジフルサポーター
シニア野菜ソムリエ
6次産業化プランナーの
田所かおりのレポートでした。
コメント
コメント一覧 (2)
「遠く北海道から来たのだなあ」とか「どんな味がするんだろう」などと思いながら見ていたので、今回の記事はとてもタイムリーでした。
そして、記事を読み進めて行く中で、ゆりね栽培に関しその手間と期間の長さにただただ驚くばかりでした。
ゆりねは5年もの長い時間をかけて栽培されるのですね。
そして、その間には植えては堀、植えては堀を何度も繰り返し(その都度地面を変えて)、さらにつぼみは手作業で一つ一つ摘み取る(北海道なので栽培面積も広いことでしょう)。
これだけでも、じゅぶんすごいのにさらに驚くべきは、栽培後地面を8年間休ませるということ。
病気に弱いすいかでさえ5年以上ですので、ゆりねがとてもデリケートな作物であることがわかりました。
知れば知るほどゆりね栽培の大変さが伝わってきました。
料理については、ゆりね自体の色が白色なので、梅肉との組み合わせは紅白の彩でとてもおめでたいですね。
ぼたんゆりねも品よく仕上がっていてとてもきれいです。
ゆりね入りのシチューも栽培の大変さを知った後だと、とても豪華な料理に思えてきます(フカヒレ入りラーメンのような)。
ゆりねのホクホク感というのはジャガイモに似た感じなのでしょうか?
ジャガイモが煮込み料理の定番野菜と考えるとゆりねも相性がよさそうですね。
生産者の清水さんからは、手間暇と時間をかけて大事に育てたゆりねへの愛情が伝わってきます。
今後ゆりねを食べる機会に恵まれたら、今回の紹介記事を思い出ししっかりとその味をかみしめたいと思います。
コメントを頂きありがとうございます。
七海様のおっしゃるとおり、北海道内でゆりねの産地といえば羊蹄山の麓の真狩村を含むJAようていで、きっとその箱をご覧になられたのだと思います。北海道に住むものとして、道産食材に興味を持っていただきとても嬉しく思います。
ゆりねの栽培は本当に手間暇と時間が掛かり、それを知ってから今まで以上にありがたく頂いております。各々の生産規模にもよりますが8年もの間土地を休ませられるのも、広大な土地をもつ北海道の生産者だからこそできることなのかもしれません。
お料理についてもとても嬉しいご感想をありがとうございます。ゆりね自体のお味ですが、火の入り方で変化し、控えめに火を通すとシャリシャリとホクホクが混ざったような感じ、火をよく通すとホクホクねっとりとした食感に変化します。また、水分が多いところで煮ると煮崩れまして、その食感は煮崩れたじゃがいもに近くなります。味自体は、甘味がありじゃがいもよりも淡白です。ぜひ、ゆりねのメニューを見かけましたら、召し上がってみてくださいませ。私も大事にいただきたいと思います。