信州に古くから伝わる

『すんき』

というお漬け物を
ご存知でしょうか
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今回、長野県木曽町へ行き、
郷土料理の『すんき』作りを
体験してきました

山梨ベジフルサポーター
藤原恵里
信州の旬の情報と
発酵食の魅力を
ご紹介致します…


今年の夏、長野県出身の俳優
田中要次さんを取材した際、
(参照→田中要次さんインタビュー♪【季刊 信州 2014秋号】
『すんき大使』の田中さんから
木曽町に伝わる『すんき』
魅力をたっぷり教えていただき、
私も一度食べてみたい
とずっと思っていました

そこで、木曽町にある
ふるさと体験館きそふくしま
で毎年開催されている
すんき漬け講習会
に参加してきました
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御嶽山の麓に位置する木曽町。
今年9月27日、御嶽山が噴火し、
多くの犠牲者を生み、
改めて自然の猛威を
知らしめることとなりましたが、
木曽町では降灰の影響は
ほとんど無かったそうです。
住民の方々はとても元気で、
この日も地元の女性の方たちが
笑顔で温かく迎えてくださり
心底安心いたしました

さて、すんきの原料となるのは、
在来種の『木曽カブ』
長野県木曽地方で
300年以上前から
栽培されてきました。

特徴の異なる6種類の赤カブは
王滝カブ開田カブ細島カブなど、
それぞれ地域の名前がついていますが、
総称して『木曽カブ』と呼ばれています。
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それでは、『すんき』とは
どのような漬け物なのでしょうか…

主に『木曽カブ』の葉を使い、
塩は全く使用せずに
植物性乳酸菌で発酵させたものです
海に面していない長野県、
塩がとても貴重だったことから
無塩発酵の漬け物が生まれたそう

『酢茎』と漢字で表記するように、
シャキッとしたカブ菜の食感と
独特の酸味が楽しめる漬け物は、
乳酸菌の種類が豊富な漬け物で
ガンの抑制効果やアレルギー症状の改善など
身体への健康効果もあるようです
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まずは、こちらのカブ菜、
葉と軸の部分を分けておきます
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そして、葉と小カブを
ザクザク細かく切っていきますよ
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「カブ菜を調べてもらったところ、
軸の部分に一番乳酸菌がついている
という大学の研究結果が出ました
だから、軸の部分も大切に使います


とのこと。
隙間に土がたくさんついているので
しっかり洗い流してから
薄切りにしていきます
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そうそう、発泡スチロールの箱には
ビニール袋をセットしておきます
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それから、出来上がったすんき
タネとして少量入れてから…
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先ほど切ったカブ菜を
60℃のお湯にくぐらせて、
ビニール袋に入れていきます
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この60℃というのがポイントで
乳酸菌が元気に活動できるよう
温めてあげるのです
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すんきのタネと温めたカブ菜を
交互に入れていき…
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最後に袋を紐で縛って作業終了
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しばらく室温に置いておけば
すぐに発酵が始まって、
数日後には食べられます

私が作ったものは…
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こんな風になりました
酸味はちょうど良いと思いますが、
いまいち綺麗な赤色になっていません

やはりこのような郷土食は
その土地の気候や風土が
伝統の味を作り上げるのでしょうね


さて、このすんきの食べ方ですが、
そのままだと酸味しか感じられないので
地元では鰹節と醤油をかけて
お茶請けにしたり、
お味噌汁に入れて食べるそう 
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カブ菜の旨味と独特の酸味が加わり
いつもと違った味噌汁が味わえます

それから、この施設では
かけそばの上にすんきをのせた
すんきそば
を提供しています
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酸味とシャキッとした食感が加わり、
なんとも絶妙な味わいでした

そのほか、ピザやラーメン、
カレーにも加えて食べるそうですよ
私もいろいろなお料理にプラスして
すんきの世界を楽しみたいです

そうそう、すんきで使わなかった
赤カブはどうするのか…
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このように赤かぶ漬けにして保存し
冬の間、少しずつ味わいます

先人の知恵から生まれた
郷土色たっぷりの伝統の漬け物
私も木曽地方の文化に触れて
改めて在来種の個性の魅力と
発酵食の奥深さを体感しました