鮮やかな真紅が美しい
つるりとした滑らかな果皮、
切ってみると艶やかな黄色い果肉は
独特の香りと果汁に満ちあふれ、
口に入れてみれば
とろけるような食感と
強烈な甘みが舌を刺激する…

…そんな素晴らしいネクタリンをつくる
素敵な生産者さんにお会いしました

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ネクタリンは桃の一種ですが、
突然変異で生まれたといわれ、
うぶ毛の無い果皮は光沢感があり
油桃(ゆとう)と呼ばれています。

明治期に海外から伝わりましたが、
日本の多湿の気候に合わず、
裂果をしたり、病気にかかってしまったりと、
あまり受け入れられませんでした。

そこで、日本の気候に合うものをと
戦前に静岡県清水市の試験場で
新たに開発されたのが
【興津】という品種だそうです。


山梨市で果樹園を営む
【フルーツ工房タンザワ】
丹沢隆さんは、
このネクタリンに着目

1970年代に
ネクタリンの一大産地・カリフォルニア
に渡って研究を重ね、
日本に新しい品種を持ち込んだ
先駆者的存在です。
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ファンタジア
フレーバートップ
インディペンデンス
など5品種を輸入しましたが、
どれも酸味が強い品種。
特に当時は早採りして出荷するため、
「酸味が強くて美味しくない」
というイメージが定着していたそうです。

やはり日本人の味覚には
酸味が少なく甘みの強い品種が
向いていることから、
日本人好みの新しい品種を誕生させようと、
山梨の果樹試験場で育種に努めました。

そして生まれたのが
黎明黎王といった
スイートネクタリンです

種苗登録されてから30年以上
ネクタリンを栽培し続けている丹沢さん、
今では70アールの畑で
6万個を生産していますが、
そのほとんどが
リピーターへの個別宅配で
販売されています。
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まるで宝石のように輝くネクタリン
こんなに美しい果実はどのようにして
作られるのでしょうか…

早速、丹沢さんの圃場を
見学させていただきました

ネクタリンがたわわに実っている木は、
しっかりと固定され、
枝が上に伸びていかないように
地面から紐で引っ張っています。
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樹勢が強くて上に伸びていく力を
こうして抑えてあげたり、
新梢の生長が自然に止まり、
葉が厚く大きくなるように
しっかりと管理することが
糖度を上げるコツなのだそう。

また、重要な摘果作業は
夫婦2人だけで行い、
病気や傷を予防するため、
袋掛けの作業も欠かしません。
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こうして手間をかけ、
愛情込めて育てられているからこそ、
極上の甘みが楽しめる
珠玉のネクタリンが出来上がるのですね

それでは、丹沢さんが育てている
6品種をご紹介します

【メイグランド】(7月上旬)
丹沢さんがカリフォルニアから導入したもので、
果実が小さめで酸味が少ない早生品種

【早生 黎明】(7月中旬)
メイグランドと黎明を交配して育成。
果実は小さいが、糖度が高く、
酸味が少ないスイートタイプ

【スイートネクタリン】(7月下旬)
反田(そった)ネクタリンと
インディペンデンスを交配して育成。
酸味が少なく、糖度が高い美味しい品種。

【黎王】(8月上旬)
黎明のように糖度が高く、
糖度が24度になることもある。
酸味もあり、甘酸濃厚で、
緻密な肉質の食感も抜群。

【晩生 黎王】(8月下旬)
黎王と秀峰を交配して育成。
黎王の味を保ちつつ、
8月下旬に収穫できるようにした
新しい品種のため、
収穫量は極少量。

【秀峰】(8月下旬〜9月上旬)
長野県で育成された
日本でメジャーな品種。
大果で酸味もある。
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「今年は雨が少なく、糖度が上がっている」
との言葉通り、
私が味わったものは酸味がほとんど無く
まったりとした果肉のとろっとした食感と
凝縮された甘みが印象的でした
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ちょっと硬めのものは糖度が16.5度。
もう少し柔らかいものになると
糖度が19.2度もありました
先日ご紹介した【浅間白桃】を越えてます

さらに追熟させると
右のように赤みが濃くなります
完熟したものは、
まるで白桃やマンゴーのよう
とろけるように柔らかく、
至高の甘みが味わえます
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こんなに素晴らしいネクタリン
長年生産されてきたのに、

「ネクタリンは難しい」

と話す丹沢さん。
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ネクタリンは病気に弱くて、
うぶ毛の無い果皮は傷がつきやすい。
カメムシなどの害虫も多い」
 
そんなデリケートな果実ですから
丹沢さんのようなベテラン農家さんでも
栽培はとても大変なようです。
それでも、さらに新たな品種を生み出し、
ネクタリンを山梨の特産品にしようと
尽力している丹沢さん。
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丹沢さんのような生産者さんがいることを
山梨県民として心から嬉しく思います

近い将来、この素晴らしいネクタリンは
フルーツ王国・山梨を代表する
重要な果物の一つになることでしょう…